(本記事は公開情報に基づく分析および筆者の見解であり、正確性や完全性を保証するものではありません。特定銘柄の売買を助言・推奨するものでもなく、投資判断はご自身の責任で行ってください。)NVIDIA( $NVDA )の株価が大きく動きました。きっかけは、8月26日に発表された2027年度第2四半期(5〜7月期)の決算です。
売上高は962.2億ドルで前年同期比106%増。主力のデータセンター部門も890.2億ドルと117%増え、市場予想を上回りました(※1、※2)。
ただ、決算発表直後の株価は一度下落しています。その後、決算説明会で2028年度も約70%の売上成長を見込むとの説明が出ると流れが変わり、翌27日の通常取引では8.7%上昇しました(※4、※7)。
今回の決算で市場が見ていたのは、足元の好調さだけではありません。これほど大きくなったNVIDIAが、AI需要を背景に来年も高い成長率を維持できるのか。その見通しが株価を大きく動かしました。
売上高962.2億ドル、調整後EPS 2.22ドルで市場予想を上回る
データセンター売上は890.2億ドル、前年同期比117%増
次四半期の売上高見通しは1,080億ドル。一方、粗利率は低下する見通し
売上962億ドル、データセンターだけで9割超
8月26日、NVIDIAは2027年度第2四半期の決算を発表しました。
売上高は962.21億ドルで、前年同期の467.43億ドルから106%増えています(※1)。市場予想の922.7億ドルも約4.3%上回りました(※2)。
調整後EPSは2.22ドルで、市場予想の2.09ドルを上回っています(※2)。売上高と利益の両方で予想を超えた決算でした。
伸びを支えたのは、AI向けGPUなどを含むデータセンター部門です。売上高は890.23億ドルで前年同期比117%増、前四半期比でも18%増えました(※1)。NVIDIA全体の売上高の9割以上を、この部門だけで稼いでいます。
内訳を見ると、大手クラウド事業者向けは487億ドルで前四半期比13%増。AIクラウド、企業、産業向けなどを含む売上高も403億ドルまで増えました(※4)。AI向けの投資が、一部の巨大テック企業だけに限られていないことが分かります。
Jensen Huang CEOは今回、「Now, compute is revenue.(いまや、コンピュートそのものが売上になる)」と発言しました(※1)。
企業がAIを動かすにはGPUやサーバーが必要です。AIを使う会社やサービスが増えるほど、その計算能力を支えるNVIDIAの製品需要も増える。Jensen氏の発言は、現在のAI投資をそう捉えたものです。
好決算でも発表直後に売られた理由は粗利率
これだけの数字なら、発表直後から株価が上がってもよさそうです。しかし、実際には一度売られました。
引っかかったのは、利益率とみられます。
NVIDIAは次の第3四半期について、売上高を1,080億ドル±2%と予想しました(※1)。市場予想の約1,049億ドルを上回る水準で、この見通しには中国向けデータセンター用コンピュートの売上も含まれていません。
売上の見通しは強いままです。一方、粗利率の見通しは74.0%。今四半期の75.0%から1ポイント下がります(※1)。
粗利率は、売上から製品を作るための直接的なコストを引いたあと、どのくらい利益が残るかを見る数字です。NVIDIAは急成長と同時に高い利益率も評価されてきたため、その低下は無視できません。
背景にあるのが、AIサーバーで使う高性能メモリなどのコスト上昇です。CFOのColette Kress氏は、メモリの供給が厳しい状況を受け、2027年度第4四半期の粗利率が71〜72%程度まで下がる可能性を示しました(※6)。
売上はまだ伸びる。ただ、その売上がどれだけ利益として残るかは別の話です。決算直後の株価は、ここに反応しました。
「来期70%成長」で株価は翌日8.7%高
その後、決算説明会で空気が変わりました。
Kress CFOは、2028年度の売上高について約70%の成長を見込めると説明しました(※4)。しかも、供給制約を考慮したうえでの見通しです。
市場では、それまで2028年度の売上高成長率を約45%と見る予想が中心でした(※7)。会社側が示した70%は、それを大きく上回ります。
NVIDIAはすでに四半期売上が約1,000億ドルに届く規模です。その会社が翌年度も70%近く伸びるという見通しは、AI向け設備投資がそろそろ減速するのではないか、という不安を弱める材料になりました。
次世代AIプラットフォームのVera Rubinも、会社によるとフル生産に向けた立ち上げが進んでいます。Google Cloud、Microsoft Azure、Oracle Cloud Infrastructure、CoreWeaveなどでRubinラックが稼働しており、Blackwellの次の製品もすでに動き始めています(※1)。
翌27日、NVIDIA株は8.74%上昇し、227.98ドルで取引を終えました(※7)。市場が大きく反応したのは、すでに出た962億ドルより、「この成長が来年も続く」という説明の方でした。
次に見るのは粗利率と供給、そして中国
今回の決算で、AI向け半導体の需要がまだ強いことは確認できました。ただ、次の決算では売上高だけでは足りません。
まず粗利率です。メモリ価格などが上がる中で、売上の伸びをどれだけ利益につなげられるか。会社は今後の粗利率低下を見込んでいるため、ここは数字で確認する必要があります(※6)。
供給も残ります。会社側は2028年度の約70%成長を供給制約込みで見込んでいますが、GPUやHBMを必要な量だけ確保できなければ、注文があっても売上にはできません(※4)。
中国も同様です。次四半期の売上高見通しには、中国向けデータセンター用コンピュートの売上が入っていません(※1)。規制環境が変われば上振れ余地になりますが、変わらなければ大きな市場を失った状態が続きます。
NVIDIAは「AI需要があるか」を確認する段階から、「この規模でどこまで成長を続けられるか」を見る段階に入っています。
売上962億ドルの決算より、その先の70%成長に株価が反応したのは、その変化をよく表していると思います。
参考文献
(※1)NVIDIA “NVIDIA Announces Financial Results for Second Quarter Fiscal 2027” 2026年8月26日
https://investor.nvidia.com/news/press-release-details/2026/NVIDIA-Announces-Financial-Results-for-Second-Quarter-Fiscal-2027/default.aspx
(※2)MarketWatch “Nvidia delivers a revenue beat as AI chip demand accelerates” / S&P Global Market Intelligence “Nvidia earnings preview: Q2 2027” 2026年8月
https://www.marketwatch.com/livecoverage/nvidia-earnings-stock-results-guidance-nvda-q2/card/nvidia-delivers-a-revenue-beat-as-ai-chip-demand-accelerates-NzE1aorXQsfktNP56Vc2
https://www.spglobal.com/market-intelligence/en/news-insights/research/2026/08/nvidia-earnings-preview-q2-2027
(※3)Woodstock 米国株投資アプリ「NVIDIA(NVDA)」株価画面、2026年8月
https://woodstock.co/ja/stocks
(※4)NVIDIA “Q2 2027 Earnings Call” 2026年8月26日
https://investor.nvidia.com/files/content_files/TRANSCRIPT_-NVIDIA-Corp-NVDA-US-Q2-2027-Earnings-Call-26-August-2026-5_00-PM-ET.pdf
(※5)Investor’s Business Daily “Nvidia Rallies On Major Amazon Contract, Fiscal Q2 Beat-And-Raise Report” 2026年8月26日
https://www.investors.com/news/technology/nvidia-stock-nvda-fiscal-q2-2027-earnings/
(※6)MarketWatch “Nvidia resets its expectations on a profit metric due to ‘extreme’ memory-chip crunch” 2026年8月26日
https://www.marketwatch.com/livecoverage/nvidia-earnings-stock-results-guidance-nvda-q2/card/nvidia-resets-its-expectations-on-a-profit-metric-due-to-extreme-memory-chip-crunch-KZTNMShlzs2dX78aZZTg
(※7)MarketWatch “Nvidia’s stock jumps as the company impresses with its new revenue forecast” / “Nvidia achieves its largest one-day market-cap gain on record” 2026年8月26〜27日
https://www.marketwatch.com/livecoverage/nvidia-earnings-stock-results-guidance-nvda-q2/card/nvidia-s-stock-jumps-as-the-company-impresses-with-its-new-revenue-forecast-n6uPxirQVPByhIXgXQPF
https://www.marketwatch.com/livecoverage/nvidia-earnings-stock-results-guidance-nvda-q2/card/nvidia-achieves-its-largest-one-day-market-cap-gain-on-record-G6SPrbDpQLEdBmfnfnrS
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