記事のポイント
Meta株は9月21日に11.4%高。Muse公開後から同日まででは2割超上昇
Museが米国App Storeで首位に。ウェルズ・ファーゴは目標株価を640ドルから796ドルへ引き上げ
Museはメール送信や旅行予約を進めるAIエージェント。Amazonによるアクセス遮断など、普及への課題も
(本記事は公開情報に基づく分析および筆者の見解であり、正確性や完全性を保証するものではありません。特定銘柄の売買を助言・推奨するものでもなく、投資判断はご自身の責任で行ってください。)先週21日、Meta株が前営業日比11.4%上昇しました。1日の上昇率としては2025年4月以来の大きさです(※1)。
買い材料になったのは、個人向けAIエージェント「Muse(ミューズ)」が米国のApp Storeで首位に立ったことと、ウェルズ・ファーゴによる目標株価の引き上げでした(※2)。
Museの公開は9月8日。そこから約2週間で利用の広がりが見え始め、AIへの巨額投資が収入につながるという期待が強まった形です(※3)。
Museは何をしてくれるのか
Museは対話型で完結するAIとは異なり、利用者が目的を伝えると、計画を立て、ブラウザを開き、フォームに入力などをしてくれます。アプリを閉じた後も作業を続け、メール送信や購入の前など、確認が必要な場面で通知を行います(※4)。
Museの中核となるのは、MetaのAIモデル「Muse Spark」と、利用者ごとに用意するクラウド上の仮想マシンです。そこにブラウザや接続先の情報を置き、WhatsAppやMuseアプリから会話で操作します。Instagramで保存した料理動画をもとに買い物リストを作るなど、Metaが持つサービスとのつながりも打ち出しています(※4)。
Museの公開当初は米国のiOS、Android、ウェブで提供を開始。基本機能は無料で、有料プランもあります。日本での提供時期は未定となっています(※4)。
9月23日のMeta Connectでは、Mac版や音声会話、外部サービスとの接続拡大も発表されました。新たな連携先にはWalmart、Best Buy、Notion、GitHubなどが含まれ、AIグラスにも今後数カ月で搭載する予定とのことです(※5)。
21日にMeta株の急騰
Museの公開から約2週間。その間に、Museが実際に使われるサービスかどうかを判断する材料が出てきました。
9月21日の株高を伝えたYahoo Financeは、Museが米国のApp Storeで首位に立ったことと、ウェルズ・ファーゴの目標株価引き上げを挙げています。同社はMetaの目標株価を640ドルから796ドルへ引き上げました。約24%の引き上げです(※2)。
なお、Woodstockアプリでは直近のアナリスト評価の変化などを見ることが可能です。上記の図からも、目標株価が最近変更されたことが分かります。
Museを公開したあと、利用が広がり、その反響を踏まえてアナリストも評価を見直しました。
終値は21日に前営業日比11.4%高となり、2025年10月以来の高値をつけています(※1)。翌22日付のロイターによると、21日の終値時点でMuse公開後の上昇率は20%超。時価総額は2,000億ドル以上増えました。同記事が伝えたApptopiaの集計では、米国・カナダのダウンロード数は公開後12日間で280万件に達しています(※3)。
なぜ利用者の増加が、これほど買い材料になったのでしょうか。
Metaが7月に示した2026年の設備投資見通しは1,300億〜1,450億ドルでした(※6)。巨額の支出を続ける会社にとって、AIから新たな収入を得られるかは大きな課題です。Museには有料プランがあり、人気が定着すれば収益源になります。市場はその可能性を評価したとロイターは伝えています(※4)(※3)。
Metaには、FacebookやInstagramなどで1日平均36億人が利用する基盤もあります(2026年6月時点、※6)。既存のアプリからMuseへ利用を広げられる点も強みです。急騰を支えたのは、この期待感と言えるでしょう。
AmazonはMuseを阻止
Museの広がりを左右するのは、他社のサービスでも問題なく動けるかどうかです。9月21日、AmazonがMuseによる自社サイトへのアクセスと買い物を遮断したと報じられました。Amazon側は事前の許可がなく、Museがエージェントであることを明示していないなどと主張しています(※3)。
Metaは、StripeのLinkを使った決済や、Shop Payなどとの連携を進めています。ConnectではWalmartなど新たな提携先も紹介しました(※4)(※5)。
とはいえ、Amazonほど大きな売り場を利用できなければ、「ネット上の買い物を一任する」という体験の価値は大きく下がるでしょう。一番よく使う場所を使いたいですからね。
利用者からすると、注文の途中で止まったり、手作業に戻されたりすれば体験価値は大きく下がります。他社のサイトや情報を使うAIエージェントには、技術の性能だけでなく、接続先との合意も必要だと実感させられる出来事と言えます。
個人情報、預けられる?
メール、予定、購入履歴を扱うサービスを全部AIに任せるって結構怖くないですか?
Metaによると、Museは利用者ごとに隔離した仮想マシンで動き、パスワードをAI本体に見せない設計です。別の監視役「Sentinel」が外部への通信を確認し、メール送信や購入時には本人の承認を求めます。
利用者は接続するサービスと許可する操作を選び、あとから接続を解除することもできます。会話や仮想マシン内のデータはMetaの広告システムと共有せず、AIの学習に使わせない設定も用意するとしています。Metaさえデータの内容を見られなくする「Muse Confidential VM」は、年内導入の計画のようです(※4)。
ロイターは9月25日、外部研究者が見つけた脆弱性を受け、MetaがMuse内の安全上の警告を明確にすると報じました(※7)。利用が広がるほど、実際の問題に対応する力も試されます。
既存のSNSから利用を広げられるのはMetaならではの強みです。ただ、巨額のAI投資を回収できるかは、この人気を有料利用と利益につなげられるかにかかっています。
現状日本ではMuseを使うことができませんが、早く利用が待ち望まれます。
参考文献
(※1)MarketWatch「Meta’s stock is enjoying its best month in 13 years thanks to the company’s hot new AI assistant」2026年9月22日(9月21日の終値ベースの上昇率、過去との比較)
https://www.marketwatch.com/story/metas-stock-is-enjoying-its-best-month-in-more-than-two-years-thanks-to-the-companys-hot-new-ai-assistant-bf106291
(※2)Yahoo Finance「Meta stock soars 11% on price target increase, Muse AI downloads」2026年9月21日(Wells Fargoの目標株価変更)
https://finance.yahoo.com/technology/article/meta-stock-soars-11-on-price-target-increase-muse-ai-downloads-180423756.html
(※3)Reuters「Wall Street expects Meta’s AI agent to shape into a new revenue engine」2026年9月22日(株価、Apptopia集計、Amazonの反応)
https://www.investing.com/news/stock-market-news/wall-street-expects-metas-ai-agent-to-shapae-into-a-new-revenue-engine-4910768
(※4)Meta「Muse登場:すべての方のために構築された世界初のパーソナルAIエージェント」2026年9月9日(米国発表は9月8日)
https://about.fb.com/ja/news/2026/09/introducing-muse-personal-ai-agent/
(※5)Meta「Meta Connect 2026: 発表内容」2026年9月24日
https://about.fb.com/ja/news/2026/09/meta-connect-2026-everything-we-announced/
(※6)Meta Platforms「Meta Reports Second Quarter 2026 Results」2026年7月29日
https://investor.atmeta.com/investor-news/press-release-details/2026/Meta-Reports-Second-Quarter-2026-Results/default.aspx
(※7)Reuters「Meta bolsters Muse safety warning after security vulnerability found, The Information reports」2026年9月25日
https://whbl.com/2026/09/25/meta-bolsters-muse-safety-warning-after-security-vulnerability-found-the-information-reports/
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