半導体株はなぜ急騰?CPU, メモリに追い風
2026年5月上旬、米国の半導体関連株価が大きく上昇しました。AMDの好決算をきっかけに、AIエージェントの普及で需要が広がるとの見方が強まっています。さらに、トランプ政権の産業政策も追い風となり、IntelやDellなど国策色の強い銘柄にも買いが広がりました。本記事では、この半導体株高の背景をわかりやすく解説します。
(本記事は、公開情報に基づく分析および筆者の見解を示したものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。株価や企業の将来を保証せず、また特定の政治的立場や政策を支持・推奨する意図も一切ありません。投資判断や経済的判断は、ご自身の責任で行ってください。)ポイント
AMDの好決算が半導体株高の起点に。データセンター部門の売上が前年同期比+57%となり、AMD株を中心にCPU関連銘柄へ買いが広がった。
AIエージェントの普及で、GPUだけでなくCPU・メモリ・AIサーバーまで需要が広がるとの見方が強まった。市場は「AIインフラ全体を買う相場」へ移りつつある。
DellやIntelには、AI需要に加えてトランプ政権の産業政策という「国策」の追い風が重なった。
目次
AMDの好決算が起点に
AIエージェントの普及でCPUが再評価
DellとIntelには「国策」という追い風も
メモリにも広がる追い風:韓国勢・Micron・SanDisk
まとめ
1. AMDの好決算が起点に
今回の上昇局面のスタートとなったAMDの決算と、市場全体の反応を見ていきましょう。
AMDは2026年1〜3月期決算で、売上高が前年同期比38%増、データセンター部門は57%増の58億ドルだったと発表しました(※1)。
AMDの2026年第1四半期決算サマリー。データセンター部門の売上は58億ドルで前年同期比+57%。出所:App Economy Insights
さらに同社は、サーバーCPU市場が2030年まで年35%以上で成長し、規模が1200億ドルを超えるとの見通しを示しています。従来は年18%成長との見立てが一般的だったため、市場には「CPUの成長余地が思っていた以上に大きい」というサプライズが広がりました(※2)。
この発表を受け、AMD株価は急騰し、Intel、Arm、QualcommといったCPU関連銘柄にも買いが波及しています。
AMD株価は直近5日で約26%上昇し、$455前後で推移。
ロイターによると、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は過去最高値を更新し、2026年の年初来上昇率は5月6日時点で59%に達したとのことです(※3)。
半導体ETF(SMH)も直近5日で約11%上昇し、過去最高水準に。
半導体セクター全体が、強気の空気に包まれている状況と言えます。これまで「業績はGPU頼み」と見られていた半導体株が、CPUという別の柱でも評価される流れに変わりつつある点は、押さえておきたいポイントです。
2. AIエージェントの普及でCPUが再評価
次に、なぜGPUだけでなくCPUまで買われているのか、AIエージェントの仕組みに踏み込んで見ていきましょう。
AIの利用には、モデルを作り込む「学習」と、できあがったモデルを使って答えを返す「推論」の2段階があります。これまでのGPUブームをけん引してきたのは、主に巨大モデルを訓練する「学習」の需要でした。一方、AIエージェントが実際に動く場面は、ほぼすべてが「推論」にあたります。しかも、ユーザーからの1回の指示に対して、内部的には計画立案、検索、ツールの呼び出し、結果の評価、再計画……と、何十回もの推論を連鎖させるのが特徴です。そのためサーバーが捌くべき処理の数は、従来のチャットボットの比ではありません。
ここで効いてくるのが、推論を裏で支えるCPUとメモリの存在です。CPUはエージェントの「司令塔」として、複数のツールやAPIの呼び出しをスケジュールし、GPUに渡すべき処理を絞り込み、外部システムから返ってきたデータを整形し直す役割を担います。GPUがいくら速くても、CPU側で渋滞が起きれば全体のスループットは落ちてしまうため、AIサーバー一式での性能設計が一段と重要になってきます。AMDがサーバーCPU市場の成長見通しを年18%から年35%以上へ大幅に引き上げた背景にも、こうした「推論時代のCPU需要」があると見られています。
バロンズも、IntelだけでなくAMDやArmといったCPU関連銘柄に資金の流れが広がっていると報じています(※4)。市場のテーマは、これまでのGPU中心の相場から、CPUやサーバーまでを含めた「AIインフラ全体を買う相場」へと、明確に広がってきていると言えそうです。さらに、その裾野はメモリ各社にもしっかりと及んでいるのですが、これについてはセクション4で掘り下げていきます。
3. DellとIntelには「国策」という追い風も
今回はAI需要に加えて、政治の動きが個別銘柄を押し上げました。
今回の上昇局面で見逃せないのが、トランプ政権に関連する材料です。Dellは、トランプ大統領がホワイトハウスで「Dellのコンピューターを買おう」と発言したことが好感され、株価が急伸しました(※5)。DellはAIサーバーを手掛ける企業でもあり、AIインフラへの期待に「政治的な追い風」が重なった形です。
Dell株価は直近5日で約24%上昇し、$260台に。
Intelも同じような構図です。Apple向けチップ製造で予備合意に達したと伝えられ、Intel株価は大きく上昇しました(※6)。この案件は、半導体の製造拠点を米国内に戻したいトランプ政権の産業政策とも重なります。米政府は2025年にIntelへ89億ドルを投資し、約9.9%の株式を取得したと発表しています(※7)。
Intel株価も直近5日で約26%上昇し、$124台へと値を上げた。
半導体は今や、企業の業績だけでなく、国家戦略のテーマでもあるということがよくわかる動きですね。一方で、政治発言を材料にした上昇には独特の値動きの荒さもあるため、長期的な業績の裏付けがどこまであるのかを見極める姿勢も大切になってきます。
4. メモリにも広がる追い風:韓国勢・Micron・SanDisk
最後に、今回のAIインフラ相場の恩恵を受けやすいメモリ関連企業を、種類ごとに整理しておきましょう。
そもそもメモリは大きく分けて、電源が入っているあいだだけ高速にデータを出し入れする「DRAM」、そのDRAMを縦に積み上げてGPUの真横に貼り付けた超高速版の「HBM」、そして電源を切ってもデータが残り続ける長期保存向けの「NAND」の3種類があります。AIエージェントは、推論中にモデルや会話の文脈をDRAMやHBMに載せて使い、参照する社内文書や過去ログ、ベクトル検索用のデータをNAND側に大量にためておくため、3種類すべてに同時に需要圧力がかかるのが特徴です。
DRAMとHBMの主役は、韓国のSK HynixとSamsungです。なかでもHBMはNVIDIA向けの量産で先行したSK Hynixがリードしており、ロイターは米国大手テック企業の強気な設備投資見通しを受けて、SK Hynix株価が一時12%上昇したと伝えています(※8)。Samsungも、HBMのNVIDIA向け供給拡大に向けて巻き返しを図っており、韓国メモリ勢全体が「AI需要のショーケース」として注目を集めています。米国勢では、Micron Technologyが、HBMを含む高付加価値メモリへのシフトで再評価が進んでいる一社です。
Micron株は直近5日で約35%上昇と、半導体銘柄のなかでも特に強い動き。
Sandisk株は直近5日で約29%上昇 / Woodstock
一方、NAND側で存在感を増しているのが、2025年にWestern Digitalから分離独立したSanDiskです。AIエージェントが参照するドキュメントや学習済みモデルの重み、RAG用のベクトルデータベースなど、「ためておくデータ」が増えるほどNANDの需要は構造的に底上げされていきます。AI時代のメモリ需要は、もはや学習用のHBMだけにとどまらず、推論を支えるDRAMから保存用のNANDまで、幅広い銘柄に追い風が広がっていると言えそうです。
まとめ
今回の半導体株の急騰は、(1) AMDの好決算でCPU市場の成長見通しが大きく引き上げられたこと、(2) AIエージェントの普及で、推論を支えるCPUとメモリの役割が再評価されたこと、(3) DellやIntelに、トランプ政権の産業政策という「国策」の追い風が重なったこと、という3つの動きが同時に効いた結果と言えます。半導体株は、もはやNVIDIAだけを見ていればよい相場ではなく、CPUからメモリ、ストレージまでを含めたAIインフラ全体を見る相場へと、明確に軸足が広がってきている――これが、今回の上昇の中心にあるストーリーと言えます。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。
参考文献
(※1)AMD「AMD Reports First Quarter 2026 Financial Results」
(※2)Reuters「AMD forecasts revenue above expectations on strong AI demand」
(※3)Reuters「AMD shares hit record high, spark global chips rally on AI demand optimism」
https://www.reuters.com/business/amd-forecast-sparks-aidriven-rally-us-chipmaker-stocks-2026-05-06/
(※4)Barron’s「Intel Stock Won’t Be the Only Winner as CPUs Rebound」
https://www.barrons.com/articles/intel-stock-nvidia-ai-chips-1137af2c
(※5)Yahoo Finance「Dell stock rockets as Trump makes bullish comments」
https://uk.finance.yahoo.com/news/dell-stock-rockets-trump-makes-182011650.html
(※6)Reuters「Apple, Intel reach preliminary chip-making deal, WSJ reports」
(※7)Intel「Intel and Trump Administration Reach Historic Agreement」
(※8)Reuters「SK Hynix shares rally after US tech firms signal strong AI spending plans」
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