バタフライ・ネットワークBFLY +55%の急騰 AIで医療分野に新構想
画像生成AIで知られるMidjourneyが医療スキャナー構想を発表し、BFLY(バタフライ・ネットワーク)は一日で+55%急騰。試作機には同社の超音波チップが40個搭載されており、市場は「端末メーカー」から「チップ供給企業」へと見方を変えたようです。
(本記事は、公開情報に基づく分析および筆者の見解を示したものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。株価や企業の将来を保証せず、また特定の政治的立場や政策を支持・推奨する意図も一切ありません。投資判断や経済的判断は、ご自身の責任で行ってください。)Midjourneyが医療スキャナー構想を発表し、BFLY(バタフライ・ネットワーク)が+55%急騰
試作機にはButterflyの超音波チップが1台あたり40個搭載
市場は同社を「端末メーカー」から「チップ供給企業」として見直し
目次
そもそもButterfly Networkはどんな会社か
スマホにつなぐ「手のひらサイズの超音波診断機器」あれ?Midjourneyって画像生成AIじゃなかったっけ?
Midjourneyのスキャナーに40個搭載MRIの100倍の速さとセンサー50万個:チップ大量採用が前提のスキャナー
砂粒大センサー50万個、毎秒テラバイト級のデータ
2027年末に初号機スパ、2031年に世界5万台が目標
医療機器としての評価には時間がかかるまとめ
2026年6月18日、医療機器のButterfly Network($BFLY)の株価が、前日比+55.87%、終値8.90ドルまで急騰しました。1日の値動きとしては異例の上昇率です(*1)。
きっかけとなったのは、画像生成AIで知られるMidjourneyが、医療領域の新構想「Midjourney Medical」と全身超音波スキャナー「The Midjourney Scanner」を公表したこと。そこに40個も組み込まれることになったButterfly Network($BFLY)のチップ技術です。ハンディ型超音波端末のメーカーから、超音波チップを外部に供給するインフラ企業へ。BFLYの見られ方が大きく変わったようです。
(本記事は、公開情報に基づく分析および筆者の見解を示したものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。特定銘柄の売買を推奨するものでもなく、投資判断はご自身の責任で行ってください。)
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そもそもButterfly Networkはどんな会社か
+55%と急騰したButterfly Networkとはどんな企業なのか、みてみましょう。
スマホにつなぐ「手のひらサイズの超音波診断機器」
Butterflyは米国の医療機器・デジタルヘルス企業で、主力は「Butterfly iQ」シリーズと呼ばれるハンディ型の超音波端末です。従来のカート型装置と違い、スマホやタブレットにつないで使う小型スキャナーで、救急外来やICU、診療所、在宅医療など、大型装置を置きにくい現場でも画像診断に近い情報を扱える狙いです(*2)。

あれ?Midjourneyって画像生成AIじゃなかったっけ?
Midjourneyは、もともと画像生成AIで知られる企業です。数年前は「画像生成AIと言えばMidjourney」と言えるほど、日本でも大きな話題でしたね。
そのMidjourneyが今回、新たに医療領域へ踏み出し、全身超音波スキャナー「The Midjourney Scanner」を発表しました。ここでつながってくるのが、Butterfly Networkです。
Midjourneyのスキャナーに40個搭載
Butterflyは6/18の公式IRで、現行のMidjourney Scanner試作機には、同社のUltrasound-on-Chipイメージングモジュールが1台あたり40個搭載されていると説明しています(*3)。
Butterflyは2025年11月、子会社を通じてMidjourneyと共同開発・ライセンス契約を結んだことをSECに開示しています。契約の対象は、Butterflyの半導体ベースの超音波技術です。これによりMidjourneyは、Butterflyの「Ultrasound-on-Chip」技術や関連ソフトウェアを、特定用途で使えるようになっていました(*4)。
つまり今回の構図は、「画像生成AIで知られるMidjourneyが医療スキャナーに進出し、その中にButterflyの超音波チップ技術が使われている」というものです。市場がBFLYを買ったのは、Butterflyが自社の小型端末だけでなく、他社の新しい医療機器にも技術を供給できる可能性が見えたからだと考えられます。
契約内容も、株価上昇を後押ししたようです。
Butterflyによると、Midjourneyとの契約では、5年間で最大7,400万ドルの期待支払いが見込まれています。内訳には、一時金、年ごとのライセンス料、マイルストーン支払いに加え、商業化後の収益分配やチップ購入に伴う支払いも含まれます(*3、*4)。つまり投資家は、「話題のAI企業と組んだ」というニュースだけでなく、ライセンス料・チップ販売・収益分配という複数の収益機会が見えた点に反応したと考えられます。
MRIの100倍の速さとセンサー50万個:チップ大量採用が前提のスキャナー
砂粒大センサー50万個、毎秒テラバイト級のデータ
Midjourneyは公式ブログとX投稿で「Midjourney Medical」を発表し、水槽状の空間に入った人体を、リング状の水中センサーで多角的に読み取る仕組みを説明しています(*5、*6)。リングは砂粒ほどの素子が約50万個並び、毎秒数百万回の発信と受信を繰り返す構造。1秒の走査データはHD動画500時間分に相当するそうです。
仕上がる3D画像はMRIに近い解像度を、ほぼ100倍の速度で得るスペック。ここで大量に必要になるのがButterflyのチップで、40個という採用数も技術要件を考えれば自然な規模感です。
2027年末に初号機スパ、2031年に世界5万台が目標
入水から退出まで60秒が目標で、まずは詳細な体組成マップから提供を始める方針です。サンフランシスコの「Midjourney Spa」は2027年末に初号機を開設、2028年に他都市展開と第3世代スキャナー投入、2031年に世界5万台・月10億回スキャンという長期目標も掲げられています(*5)。この規模に近づけば必要なチップは何百万個単位になりえます。
医療機器としての評価には時間がかかる
ただし、診断機能の本格提供にはFDA承認が必要で、Midjourney自身も体組成マップから始め、能力拡大に向けてFDAに試験結果を提出していくとしています(*5)。
Business Insiderも、医療専門家から全身スキャンの解釈や過剰検査、偽陽性への懸念が出ていると報じています(*7)。話題性と医療機器としての評価は別物で、実装には数年単位の時間がかかる前提で見ておきたいところです。
まとめ
今回の急騰は、公開済みの契約と公式発表に裏づけられた反応と言えると思います。40個の採用、最大7,400万ドルの期待支払い、5年契約、収益分配といった要素は、いずれも一次情報で確認できます(*3、*4)。
AI関連の急騰にしては材料の実体感が強いのが、この値動きの特徴と言えるでしょう。
一方、事業リスクが消えたわけではありません。
Butterfly公式も、装置開発・規制承認・商業化・チップ供給規模・市場受容には不確実性があると注意書きを入れています(*3)。今回の上昇は「新領域の可能性を開いたことを、市場が一気に織り込みにいった」と見ておきたいです。
Butterflyは今回、超音波チップの「外部供給先」を持つ会社として市場での見方が変わりました。次の四半期決算と公式リリースで、このストーリーが数字として続くかを確認しておきたいところです。
参考文献
(*1)Yahoo Finance “Butterfly Network, Inc. (BFLY) 2026年6月18日終値 https://finance.yahoo.com/quote/BFLY/
(*2)Butterfly Network, Inc., Form 10-K / Annual Report 2025, SEC, 2026年2月27日
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1804176/000180417626000009/bfly-20251231.htm
(*3)Butterfly Network IR “Butterfly Network Provides Commentary on Midjourney Medical’s Full Body Ultrasound Scanner Announcement” 2026年6月18日 https://ir.butterflynetwork.com/News/press-releases/news-details/2026/Butterfly-Network-Provides-Commentary-on-Midjourney-Medicals-Full-Body-Ultrasound-Scanner-Announcement/default.aspx
(*4)SEC Form 8-K, Butterfly Network, Inc., 2025年11月17日付 “Co-Development and Licensing Agreement with Midjourney, Inc.”
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1804176/000180417625000015/bfly-20251117.htm
(*5)Midjourney公式ブログ “A New Era of Midjourney”(Midjourney Medical/Midjourney Scanner発表) https://www.midjourney.com/medical/blogpost
(*6)Midjourney公式X “Midjourney Medical announcement post” 2026年6月
(*7)Business Insider “Midjourney wants to map your body in 60 seconds and then send you to a sauna” 2026年6月https://www.businessinsider.com/midjourney-medical-scanner-health-care-spa-2026-6
(*8)Medical Device Network “Butterfly iQ+ Ultrasound System” 2024年3月 https://www.medicaldevice-network.com/projects/butterfly-iq-ultrasound-system/
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