(本記事は公開情報に基づく分析および筆者の見解であり、正確性や完全性を保証するものではありません。特定銘柄の売買を助言・推奨するものでもなく、投資判断はご自身の責任で行ってください。)記事のポイント
9月1日、ジョン・ターナス氏がCEOに就任。ティム・クック氏はエグゼクティブ・チェアマンとして残る
ハードウェアはジョニー・スルージ氏、ソフトウェアと中核AIはクレイグ・フェデリギ氏が担当。いずれもターナス氏CEOのもとで新体制を支える
新体制で最初に注目される大型イベントは、9月9日の「Surprise and shine」
2026年9月1日、AppleのCEOが15年ぶりに交代しました。
ティム・クックに代わってトップに立ったのは、ジョン・ターナス氏。2001年にAppleへ入り、25年にわたってハードウェア開発に携わってきたエンジニアです。
これまで担当してきたハードウェアエンジニアリングは、4月に最高ハードウェア責任者(Chief Hardware Officer)へ就いたジョニー・スルージ氏に引き継がれました。ソフトウェアと中核AIを率いるクレイグ・フェデリギ氏も、ターナス氏CEOの直属です。
自分で一つの部門を動かす立場から、複数の専門チームを一つの製品にまとめる立場となります。
クック氏はCEOを退き、Appleに残る
CEO交代が発表されたのは4月20日でした。
ターナス氏の就任日は9月1日。発表から4カ月以上をかけて引き継ぎが進められ、クックはその間もCEOを務めました(※1)。
そして9月1日以降も、クック氏はAppleを離れません。
新しい肩書きはエグゼクティブ・チェアマン(会長)。Appleによると、世界各国の政策立案者との関係を含め、会社の一部業務を引き続き支援します。15年間CEOを務めてきたクック氏が持つ対外関係や経験を、新体制でも活用する形です。
取締役会も同時に変わりました。これまで非執行会長だったアーサー・レビンソン氏は筆頭独立取締役へ移り、ターナス氏自身も取締役に加わっています。
クック氏が引き渡したAppleは、2011年とはまるで違う規模になりました。
CEO就任時に約3,500億ドルだった時価総額は、2026年4月の発表時点で約4兆ドル。年間売上高は2011年度の約1,080億ドルから、2025年度には4,160億ドルを超えています。
世界で稼働するApple製品も25億台を超えました(※1)。
ハードウェア一筋25年。CEO就任前に古巣を離れる
ターナス氏のキャリアは、ほぼ一貫してハードウェアです。
ペンシルベニア大学で機械工学を学び、2001年にAppleのプロダクトデザインチームへ入りました。2013年にはハードウェアエンジニアリング担当バイスプレジデント、2021年には同シニアバイスプレジデントとして経営陣に加わっています(※1、※2)。
iPadやAirPodsの新しい製品ラインに加え、iPhone、Mac、Apple Watchでも多くの世代のハードウェア開発を率いてきました。
そのターナス氏がCEOになると決まった翌日、Appleはもう一つ大きな人事を発表します。
4月21日、ジョニー・スルージ氏を最高ハードウェア責任者に任命しました(※4)。
スルージ氏は、それまで自ら率いてきたハードウェアテクノロジーに加え、ターナス氏が担当していたハードウェアエンジニアリングも統括します。
Appleシリコン、バッテリー、カメラ、センサー、ディスプレイ、通信モデムだけではありません。製品デザインからシステムエンジニアリング、信頼性や耐久性のテストまで、Apple製品のハードウェアを広く見る役職です(※4)。
現在、スルージ氏は最高ハードウェア責任者としてターナス氏CEOに直属しています。
ソフトウェアを率いるクレイグ・フェデリギ氏も同じです。
フェデリギ氏はiOS、iPadOS、macOS、watchOS、visionOSなどのソフトウェアに加え、基盤モデルや応用AI、Apple Intelligence、Siriを支える研究など、Appleの中核AIも担当しています(※5)。
自らハードウェア組織を率いる役割を離れ、その責任者を含む経営陣を束ねる側へ回ったという形です。
実はクック氏にも似たところがあります。
クックはCEOになる前、Appleの最高執行責任者(COO)でした。2011年にCEOへ移ったあと、COOの席はすぐには埋められず、ジェフ・ウィリアムズ氏が就任したのは2015年12月です(※8)。
ターナス氏の場合は、CEOになる4カ月以上前から古巣の引き継ぎを始めていました。
最初の大型イベントは9月9日
新体制を見られる最初の大きな機会が、すぐにやってきます。
Appleは9月9日午前10時(米太平洋時間)、イベント「Surprise and shine」を開催します。日本時間では9月10日午前2時です(※7)。
ターナス氏がCEOに就任してから初めての大型Apple Eventになります。
現時点で、誰がどの製品を説明するのかは発表されていません。だからこそ、壇上の顔ぶれにも注目したいところです。
ターナス氏本人がどこまで前面に出るのか。スルージ氏やフェデリギ氏との役割分担も見えてきます
Siri AIはどこまで進んだのか:2026年後半とされる一般向けベータについて、新しい情報が出るか(※6)
AIをどの製品に載せるのか:モデル単体の性能より、25億台を超えるAppleの稼働端末へどう広げていくか
新体制では、社内の担当領域が以前よりはっきりしています。ハードウェアを25年間作ってきたエンジニアが、Apple全体をどう一つにまとめるのか。
9月9日のイベントは、その最初の手がかりになりそうです。
参考文献
(※1)Apple「ティム・クックがAppleのエグゼクティブ・チェアマンに就任、ジョン・ターナス氏がAppleのCEOに就任」2026年4月20日
https://www.apple.com/jp/newsroom/2026/04/tim-cook-to-become-apple-executive-chairman-john-ternus-to-become-apple-ceo/
(※2)Apple「Apple Leadership - John Ternus」
https://www.apple.com/leadership/john-ternus/
(※3)Woodstock 米国株投資アプリ「Apple(AAPL)」株価画面、2026年9月
(※4)Apple「ジョニー・スルージ氏、Appleの最高ハードウェア責任者に就任」2026年4月21日
https://www.apple.com/jp/newsroom/2026/04/johny-srouji-named-apples-chief-hardware-officer/
Apple Leadership - Johny Srouji
https://www.apple.com/ca/leadership/johny-srouji/
(※5)Apple「Leadership and Governance - Craig Federighi」
https://investor.apple.com/leadership-and-governance/person-details/default.aspx?ItemId=08f74a3d-c2fc-4818-be54-854b1e807898
(※6)Apple「Appleが、格段に高性能でパーソナルなアシスタント、Siri AIを発表」2026年6月
https://www.apple.com/jp/newsroom/2026/06/apple-introduces-siri-ai-a-profoundly-more-capable-and-personal-assistant/
(※7)Apple Developer「September 2026 Apple Event」
https://developer.apple.com/hello/september26/
(※8)Apple「Apple Names Jeff Williams Chief Operating Officer」2015年12月17日
https://www.apple.com/newsroom/2015/12/17Apple-Names-Jeff-Williams-Chief-Operating-Officer/
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