原油価格高騰で米国株はどう動く?
原油価格は大台の100ドル超え
現在、世界のエネルギー市場はかつてない緊張状態にあります。米国とイスラエルによるイランへの攻撃が収束を見せない中、原油価格は2022年のウクライナ侵攻時以来となる最高値を記録しました。
2026年3月9日現在、国際的な原油の指標であるブレント原油先物は1バレルあたり116.71ドルまで急騰しており、週明けの時点で金曜日の終値から25%以上の大幅な上昇を見せました。
米国の指標であるWTI原油先物も115ドルの大台を突破しています。
この状況に対して、トランプ大統領は自身のSNSを通じて、「この原油価格の上昇は、イランの核の脅威を排除するための短期的かつ小さな代償である」という見解を示しています。
イラン側はホルムズ海峡の封鎖を宣言し、周辺の石油施設への攻撃など対抗措置をとっていますが、米国政府はこの事態を一定の戦略的コストと捉えているようです。
一方で、民主党のチャック・シューマー院内総務などは、ガソリン価格高騰による国民への悪影響を懸念。戦略石油備蓄の放出を求める声が上がるなど、米国内でも政策対応を巡る議論が白熱しています。
ガソリン高は家計に波及
この世界的な原油価格の動きは、私たちの家計にも直接的な影響を及ぼし始めています。
AAA(米国自動車協会)の調査によると、3月8日時点の米国のガソリン全国平均価格は1ガロンあたり3.45ドルまで上昇しました。わずか1週間前が2.984ドルであったことを考えると、その上昇スピードがいかに速いかが分かります。石油市場の分析に定評のあるGasBuddyのパトリック・デ・ハーン氏は、今後さらに価格が上昇し、来月までに4ドルの大台に達する確率が80%あると警告しています。
米国株市場では、エクソンモービルやシェブロンなどのエネルギー関連銘柄に買いが入る場面もみられました。
原油高を受けてガソリンの卸値が急速に上がる可能性があり、店頭価格も今週だけで1ガロン3.75〜3.95ドル程度まで上昇するとの見方が出ています。4ドルを超えれば、2022年8月以来の高値となります。
原油価格の上昇は、輸送コストを通じてあらゆる商品の価格に波及する可能性があるため、市場はこれがインフレを再び加速させるかどうかを懸念しているのです。
過去の中東危機と何が違うのか
現在の原油高騰が、過去の混乱時と比べてどのような構造になっているのかをみてみましょう。
1980年代の「タンカー戦争*」当時と比較すると、現在のエネルギー市場は大きく変貌しています。1984年以降、イラン・イラク戦争のなかでホルムズ海峡周辺の緊張が高まり、タンカーへの攻撃が本格化しました。ただ、原油価格はそれだけで持続的に高騰したわけではありませんでした。当時は省エネの進展に加え、北海やアラスカなど非OPEC産油地の増産が進み、世界全体では供給に比較的余裕があったためです。
しかし、現在は当時と異なり、世界の余剰生産能力が限られており、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)など一部の産油国への依存が高くなっています。また、米国がシェール革命を経て中東依存を相対的に下げた一方で、中国はホルムズ海峡を通過する石油の最大輸入国となり、この海域の重要性はむしろ一段と高まっています。
さらに、現在は原油の実際の需給だけでなく、アルゴリズム取引やETF、デリバティブなどの金融取引が価格形成に大きく関わっています。そのため、地政学的なニュースが流れると、市場が瞬時に反応し、価格が急騰しやすい構造になっています。一方で、IEAの戦略備蓄制度が拡充されているため、需給逼迫への影響は1980年代より強まっていると言えます。
つまり、1980年代は中東の緊張が高まっても世界の供給余力がそれを吸収しやすい状況でしたが、現在は供給の余裕が小さいうえ、市場もニュースに敏感に反応します。そのため、同じような地政学リスクでも原油価格が上がりやすい構造になっていると言えます。
*1980年から1988年まで続いたイラン・イラク戦争の過程で、両国が相手の経済基盤である石油輸出を阻止しようとした戦い
今後の原油価格の焦点は?
今後の原油価格を見通すうえで重要なのは、中東情勢の緊張そのものよりも、石油やLNGの供給への影響がどこまで広がり、どれだけ長引くかという点です。3月9日時点では、戦闘は10日目に入り、イランの対抗姿勢も続いています。トランプ大統領も終戦の判断はイスラエル側と協議しながら行う考えを示しており、当初期待されていたような早期収束シナリオはやや後退しつつあります。
さらに、ホルムズ海峡周辺では通航の混乱が続き、サウジアラムコが輸出ルートの見直しを進めるなど、供給不安は市場心理だけでなく実際の物流にも影響を及ぼし始めています。こうした状況を踏まえると、原油価格はしばらく高止まりしやすく、値動きの荒い展開が続く可能性があります。
ただし、高騰がこのまま長期化するとまでは言い切れません。原油価格を最終的に決めるのは、あくまで世界全体の需給バランスです。今後、供給網の混乱がさらに広がれば高値圏が続く可能性がありますが、一方で代替輸送や供給調整が進めば、足元の急騰が落ち着いていく余地もあります。
つまり、今後の焦点はニュースの大きさそのものではなく、供給への影響が一時的なものにとどまるのか、それとも長引くのかにあると言えそうです。
【S&P500 銘柄入替のお知らせ】
3月23日(月)の市場オープンより、以下の銘柄入替が実施されます。
新規採用: $VRT / $LITE / $COHR / $SATS
除外: $MTCH / $MOH / $LW / $PAYC
【☀️サマータイムのお知らせ】
Woodstockでは通常の取引時間に加えてプレ、アフター、夜間時間を含む24時間取引ができるためサマータイムの影響は限定的ですが、米国時間3月8日からサマータイム (DST) が開始され、レギュラーオプンの取引時間が日本時間22:30~翌5:00に変更されますのでご注意下さい。
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