ウォルマートで占われる米国消費
原油高とインフレが、米国の家計をじわじわ圧迫しています。小売売上は底堅い一方、消費者心理は冷え込み、支出の中身は変化しています。今週決算を控える米小売最大手ウォルマートは、米国消費の強さと節約志向を探る重要な手がかりになりそうです。
(本記事は、公開情報に基づく分析および筆者の見解を示したものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。株価や企業の将来を保証せず、また特定の政治的立場や政策を支持・推奨する意図も一切ありません。投資判断や経済的判断は、ご自身の責任で行ってください。)ポイント
米国消費は数字上はまだ底堅く、小売売上やネット通販は伸びている。
一方で、インフレや原油高が家計を圧迫し、消費者心理は冷え込んでいる。
ウォルマート決算では、売上だけでなく客数・客単価・eコマースから消費の質が注目される。
目次
今週の決算ではNVIDIAやWalmartに注目
数字だけ見ると米国消費はまだ底堅い
家計を圧迫するインフレ
消費者マインドは過去最低圏
ウォルマートの株価動向
まとめ
今週の決算ではNVIDIAやWalmartに注目
今週の決算スケジュールは以下の通りです。NVIDIAやWalmartの決算が控えています。
イラン戦争を発端にした原油高が、私たちの生活のすぐそばまで届き始めています。日本ではカルビーが「白黒ポテチ」を発表し話題になりました。原料の油や金属が滞ると、菓子袋の色やお気に入りの飲料にまで影響が出るということです。世界一の消費大国・米国の家計はいまどうなっているのか―小売最大手ウォルマートの決算に注目が集まっています。
カルビーは今月12日、ポテトチップスなど14商品のパッケージを白黒2色に変更すると発表しました。原因は、カラフルな印刷インクの原料となる「ナフサ」が中東情勢の悪化で品薄になったことです(※1)。
米国経済はGDPの約7割を個人消費が占めるため、消費が崩れると企業業績・景気・株価のすべてに波及します。今週は米国消費の状況が反映されやすいウォルマート $WMT が、5月21日に2027年度第1四半期決算(FY2027 Q1)を発表します(※2)。本記事では、最新データと決算の見どころから米国消費のいまを整理します。
数字だけ見ると米国消費はまだ底堅い
米国商務省センサス局によると、2026年4月の小売・外食売上高は前月比0.5%増、前年比4.9%増。ネット通販を含む「無店舗小売」は前年比11.1%増と引き続き伸びています(※3)。数字だけ見れば、米国人はちゃんとお金を使っているように見えます。
ただしこれは「インフレ調整前(名目)」の数字です。買う量が本当に増えたのか、ただ値段が上がっただけなのかは、この数字からはわかりません。
家計を圧迫するインフレ
4月の米CPI(消費者物価指数)は前年比3.8%上昇し、2023年5月以来の高い伸びとなりました。特にエネルギー価格は前年比17.9%、ガソリン価格は28.4%上昇しています(※4)。
平たく言えば、1年前に100ドルで買えたモノが、いまは103.8ドル払わないと買えません。ガソリンに至っては、3ドルだったものが約3.85ドルです。給料がそれほど上がっていない人にとって、毎日の支出は確実に重くなっています。
米国は車社会のため、ガソリン高は物流コストや外食、日用品にも幅広く波及します。
これを裏付けるのが個人消費支出(PCE)です。3月の名目PCEは0.9%増えたものの、物価上昇を除いた実質PCEは0.2%増にとどまりました(※5)。つまり財布から出たお金は0.9%増えたのに、手に入れたモノは0.2%しか増えていない。差の0.7%分は「値上がり」で消えています。
消費者マインドは過去最低圏
もう一つ気になるのが、消費者心理の悪化です。
ミシガン大学の5月速報の消費者信頼感指数は48.2と、4月の49.8からさらに低下しました。この指数は数字が高いほど「楽観」、低いほど「悲観」を示しますが、48.2は過去最低水準です。回答者の約3分の1がガソリン価格、約3割が関税を懸念材料に挙げています(※6)。
つまり米国人はまだ買い物を続けているものの、「気持ちよく買っている」わけではないということです。
ウォルマートの株価動向
ウォルマートが注目されている理由は、インフレ下の消費者行動をよく映すからです。物価が上がると、消費者は「より安い店、より安い商品」を選びます。低価格・食品・日用品・オンライン配送に強いウォルマートは、その受け皿になりやすい存在です。
前回(FY2026 Q4)決算では、米国事業の既存店売上が4.6%増、客数(取引件数)が2.6%増、客単価が2.0%増、米国eコマース売上は27%増でした(※7)。
ここで重要なのは、値上げ分を示す客単価(+2.0%)よりも、来店客数(+2.6%)の方が大きく伸びていた点です。これは「値上げで売上を作っているだけ」ではなく「実際に店に来る人が増えている」ことを意味し、ウォルマートの本物の強さを示していると言えます。
今回の決算で見るべきは売上の中身です。①既存店売上の伸び、②客数の動き、③客単価依存になっていないか、④粗利益率の防衛、⑤通期ガイダンスの慎重度――この5点が見極めの軸になりそうです。
まとめ
今の米国消費は、強いとも弱いとも言い切れません。小売売上は伸びていますが、実質消費は鈍く、心理は弱い。「崩れていないが、質が変わっている」と言える局面です。
低価格・食品・日用品に強いウォルマートや$XLPには資金が集まりやすい一方、家具、衣料、外食、高額商品など「裁量消費」依存企業は節約志向の影響を受けやすくなります。
AI相場が米国株の未来を映すなら、ウォルマート決算は米国経済の現実を映します。今週の小売決算は、米国株全体の強さを判断する重要な材料になりそうです。
参考文献
(※1)日本経済新聞「カルビー、ポテトチップスなど白黒包装に インク不足で伊藤ハムも検討」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC118M20R10C26A5000000/
(※2)Walmart, “FY2027 Q1 Earnings Release” https://corporate.walmart.com/news/events/fy2027-q1-earnings-release
(※3)U.S. Census Bureau, “Advance Monthly Sales for Retail and Food Services, April 2026” https://www.census.gov/retail/sales.html
(※4)U.S. Bureau of Labor Statistics, “Consumer Price Index Summary, April 2026” https://www.bls.gov/news.release/cpi.nr0.htm
(※5)U.S. Bureau of Economic Analysis, “Personal Income and Outlays, March 2026” https://www.bea.gov/index.php/news/2026/personal-income-and-outlays-march-2026
(※6)University of Michigan, “Surveys of Consumers: Preliminary Results for May 2026”
https://www.sca.isr.umich.edu/?mod=article_inline
(※7)Walmart, “Q4 FY26 Financial Presentation / Earnings Release” https://stock.walmart.com/sec-filings/all-sec-filings/content/0000104169-26-000032/earningsreleasefy26q4.htm
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